1級施工管理技士とは?2級との違い・受検資格・難易度・年収への影響を解説
2級施工管理技士を取得して現場を任されるようになると、「次は1級を目指すべきか」「仕事と両立しながら本当に合格できるのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。1級は難しいと聞く一方で、取得すると仕事の幅や評価が大きく変わる資格でもあります。
この記事では、1級施工管理技士でできること、2級との違い、2024年度(令和6年度)に見直された受検資格、「いきなり1級」は受けられるのか、試験内容と難易度、勉強法、取得後のキャリアまでを整理して解説します。1級に挑戦するかどうかを判断する材料として、ぜひ参考にしてください。
1級施工管理技士とは?大規模工事の「監理技術者」になれる上位資格
1級施工管理技士とは、建設業法にもとづく国家資格「施工管理技士」の上位区分で、元請として受注した大規模な工事で「監理技術者」になれる資格です。 2級では主任技術者にしかなれませんが、1級を取得すると監理技術者・主任技術者のどちらにもなれるため、担当できる工事の規模や立場が大きく広がります。
施工管理技士には、建築、土木、電気工事、管工事、造園、建設機械、電気通信工事の7つの種目があり、それぞれに1級と2級があります。たとえば「1級建築施工管理技士」「1級土木施工管理技士」のように、種目ごとに別の資格として扱われます。資格全体の仕組みは「施工管理技士とは?資格の種類・受検資格・取得するメリットを解説」でも紹介しています。
監理技術者になれる
建設業法では、工事現場ごとに技術上の管理を担う技術者の配置が求められています。通常の工事では「主任技術者」を置けばよいのですが、発注者から直接請け負った元請の工事で、下請に出す金額の合計が一定額以上になる場合は、より上位の「監理技術者」を置かなければなりません。
この金額の基準は法改正で見直されることがあり、2025年2月からは下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)とされています。つまり、多くの専門工事会社をまとめる規模の大きな工事では、監理技術者がいなければ受注・施工ができません。1級施工管理技士は、この監理技術者になるための代表的な資格です。なお、監理技術者として現場に配置されるには、資格に加えて「監理技術者資格者証」の交付を受け、定期的に監理技術者講習を受講する必要があります。
特定建設業の営業所の技術者になれる
建設業を営むには建設業許可が必要で、元請として大きな金額を下請に出す会社は「特定建設業」の許可を取らなければなりません。許可を受けるには、営業所ごとに一定の資格や経験を持つ技術者を置く必要があり、特定建設業の場合は原則として1級の国家資格者などが求められます。
この営業所に置く技術者は、長く「営業所専任技術者」と呼ばれてきました(2024年12月の法改正で「営業所技術者」「特定営業所技術者」という呼び方に整理されています)。1級施工管理技士がいることは、会社にとって特定建設業の許可を維持するうえでも重要な意味を持ちます。
1級と2級の違い
1級と2級は、同じ種目でも「できること」と「求められる経験」が大きく異なります。主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 1級施工管理技士 | 2級施工管理技士 |
|---|---|---|
| できること | 監理技術者・主任技術者になれる。特定建設業・一般建設業の営業所の技術者になれる | 主任技術者になれる。一般建設業の営業所の技術者になれる |
| 対象となる工事 | 規模の制限なく、大規模な元請工事まで担当できる | 主に中小規模の工事。監理技術者が必要な工事は担当できない |
| 第一次検定の受検資格 | 受検年度末時点で19歳以上 | 受検年度末時点で17歳以上 |
| 第二次検定の受検資格 | 1級第一次検定合格後の実務経験5年以上など | 2級第一次検定合格後の実務経験3年以上など |
| 試験の難易度 | 出題範囲が広く、応用力や判断力も問われる | 基礎的な知識と経験の整理が中心 |
| 会社・転職市場での評価 | 経営事項審査の評価が高く、求人でも優遇されやすい | 施工管理の基本資格として評価される |
| 種目の区分 | 種目ごとに1つの資格 | 建築・土木などは種別(例:建築・躯体・仕上げ)に分かれる |
2級は「現場を任される入り口の資格」、1級は「大きな現場や組織の中核を担う資格」と考えるとイメージしやすいでしょう。2級の詳しい内容は「2級施工管理技士とは?」で解説しています。
担当できる工事の範囲
2級施工管理技士は主任技術者として現場を担当できますが、監理技術者が必要な規模の元請工事では技術者になれません。1級であれば工事の規模に上限がないため、大型のビル、公共インフラ、工場やプラントの設備工事など、会社の中でも大きな案件の責任者を任されやすくなります。
2級の「種別」がない
2級の建築施工管理技士は「建築」「躯体」「仕上げ」、2級の土木施工管理技士は「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」といった種別に分かれています。一方、1級は種目ごとに1つの資格で、種別の区分はありません。1級を取れば、その種目の工事全体を幅広く担当できる資格者として扱われます。
1級施工管理技士を取るメリット
1級の取得には相応の勉強時間が必要ですが、それに見合うメリットがあります。代表的なものを紹介します。
年収アップにつながりやすい
1級を取得すると、資格手当の増額、昇格・昇給、より大きな現場への配置などを通じて、年収が上がりやすくなります。資格手当の金額は会社によってさまざまで、2級と1級で手当額に差をつけている会社も多くあります。
ただし、資格を取っただけで年収が決まるわけではなく、担当する工事の規模、役職、会社の規模や地域によっても大きく変わります。具体的な金額は求人ごとに確認するのが確実です。年収が決まる仕組みは「施工管理の年収を上げるには?」で詳しく解説しています。
転職市場での評価が高い
監理技術者になれる1級施工管理技士は、どの会社でも確保したい人材です。建設業界では技術者の不足が続いており、求人票に「1級施工管理技士の資格保有者」を応募条件や歓迎条件として挙げる会社は少なくありません。
1級を持っていると、ゼネコンやサブコンの大規模案件、発注者側の技術職、年収水準の高いポジションなど、応募できる求人の幅が広がります。年齢を重ねてからの転職でも、資格と実務経験がそろっていれば評価されやすいのが施工管理の特徴です。
また、1級技士補の段階でも、監理技術者補佐として配置できる人材として評価されることがあります。第二次検定の合格を目指している途中であっても、第一次検定の合格は職務経歴の中で十分にアピールできる実績です。
仕事の裁量と信頼が増える
1級を持つと、発注者や設計者、協力会社から技術者としての信頼を得やすくなります。現場の責任者として判断を任される場面が増え、自分の考えで工事を進められる裁量も大きくなります。若手の指導を任される機会も増えるため、マネジメントの経験を積みたい方にとっても大きな一歩になります。
大規模な工事に携われる
大型の商業施設や再開発、橋梁やトンネルなどのインフラ工事は、監理技術者の配置が必要になることが多い工事です。1級を取得することで、こうした工事の責任者を目指せるようになります。規模の大きな工事を経験すると、技術力だけでなくマネジメント力も身につき、次のキャリアにもつながります。
経営事項審査で会社の評価が上がる
公共工事の入札に参加する建設会社は、「経営事項審査(経審)」という審査を受けます。この中に、会社に在籍する技術者の資格や人数を点数化する項目があります。
技術者の評価は、1級の国家資格者が5点、2級が2点というように、資格によって点数が変わります(1級で監理技術者資格者証を持ち、講習を受講している場合はさらに高く評価されます)。1級施工管理技士が在籍することは会社の評価に直結するため、会社から取得を強く勧められたり、手当や受験費用の補助が手厚かったりする理由の一つになっています。
1級施工管理技士の受検資格(2024年度改正後)
施工管理技士の受検資格は、2024年度(令和6年度)の試験から大きく見直されました。以前は学歴や実務経験年数によって細かく条件が分かれていましたが、改正後は「第一次検定は年齢だけ」「第二次検定は第一次検定合格後の実務経験」というシンプルな仕組みになっています。
第一次検定は19歳以上なら受検できる
1級の第一次検定は、受検する年度の末日時点で19歳以上であれば、学歴や実務経験に関係なく受検できます。これまで学歴によって長い実務経験が必要だった方でも、まずは第一次検定に挑戦できるようになりました。
第二次検定は第一次検定合格後の実務経験が必要
第二次検定を受けるには、1級の第一次検定に合格したうえで、一定の実務経験を積む必要があります。主な区分は次のとおりです。
| 区分 | 第二次検定に必要な実務経験(1級第一次検定合格後) |
|---|---|
| 一般的なケース | 実務経験5年以上 |
| 特定実務経験がある場合 | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
| 監理技術者補佐の経験がある場合 | 監理技術者補佐としての実務経験1年以上 |
「特定実務経験」とは、一定の規模以上の建設工事で、監理技術者や主任技術者の指導のもと、または自らが監理技術者・主任技術者として施工管理を行った経験のことです。このほか、2級の第二次検定に合格している方向けの区分もあります。区分ごとの細かな条件や、実務経験として認められる工事・業務の範囲は種目によっても異なるため、詳しくは試験実施機関が公開している最新の「受検の手引き」で確認してください。
2028年度までは旧受検資格でも受検できる
制度の切り替えにともない、2024年度から2028年度(令和10年度)までは、改正前の旧受検資格でも受検できる経過措置が設けられています。すでに旧制度の条件で実務経験を積んでいる方は、旧受検資格で第二次検定まで進んだほうが早い場合もあります。
どちらの受検資格で申し込むのが有利かは、学歴や実務経験年数、2級の合格状況などによって変わります。申し込み前に手引きをよく読み、自分がどの区分に当てはまるかを確認しておきましょう。
「いきなり1級」は受けられる?
2級を持っていない方や、施工管理の経験が浅い方から「いきなり1級を受けられるのか」という質問をよく受けます。結論から言うと、第一次検定は受けられますが、第二次検定には実務経験が必要です。
第一次検定は2級なしでも受検できる
改正後の制度では、1級の第一次検定の受検資格は年齢だけです。2級を持っていなくても、実務経験がなくても、19歳以上であれば受検できます。合格すると「1級技士補」の称号が得られるため、早い段階で1級の第一次検定に挑戦する人も増えています。
第二次検定までは時間がかかる
一方で、第二次検定は1級第一次検定の合格後に実務経験を積まないと受けられません。一般的なケースでは合格後5年以上の実務経験が必要なため、資格として「1級施工管理技士」になるまでには相応の年数がかかります。
また、実務経験が少ない段階では、第一次検定の施工管理法や法規の問題をイメージしにくく、勉強の負担が大きく感じられることもあります。現場経験が浅い方は、2級から段階的に取得するか、1級の第一次検定に挑戦するかを、仕事の状況に合わせて考えるとよいでしょう。
2級から目指すか、1級から目指すか
2級を先に取れば主任技術者として早く現場を任せてもらえる可能性があり、資格手当の対象になる会社もあります。1級の第一次検定から始めれば、合格後の実務経験をそのまま1級の第二次検定につなげられるというメリットがあります。
どちらが正解というわけではなく、今の実務経験年数、担当している現場の規模、会社の評価制度によって向き不向きが変わります。会社の資格手当や昇格の条件を確認したうえで、自分に合ったルートを選びましょう。
1級施工管理技士の試験内容
1級の試験は、知識を問う「第一次検定」と、実務の応用力を問う「第二次検定」の2段階で行われます。試験日程や出題形式は種目によって異なりますが、多くの種目で第一次検定は夏前後、第二次検定は秋ごろに実施されています。
| 項目 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| 主な出題形式 | マークシート方式(選択式) | 記述式が中心 |
| 主な出題内容 | 工学の基礎知識、施工技術、施工管理法、法規など | 経験記述、施工管理法、施工技術、法規など |
| 問われる力 | 幅広い知識と、施工管理の基礎的な応用能力 | 実務経験にもとづく判断力と、文章で説明する力 |
| 合格すると | 1級技士補の称号 | 1級施工管理技士の称号 |
第一次検定の特徴
第一次検定は、マークシート方式で幅広い分野から出題されます。種目ごとの専門知識のほか、工程管理・品質管理・安全管理といった施工管理法、建設業法や労働安全衛生法などの法規も範囲に含まれます。
2021年度の制度改正以降は、知識だけでなく「施工管理法の応用能力」を問う問題も出題されるようになりました。過去問の丸暗記だけでは対応しにくい問題もあるため、なぜその答えになるのかを理解しながら学ぶことが大切です。
第二次検定の特徴と経験記述
第二次検定は記述式が中心で、自分の言葉で答えを書く力が求められます。特に多くの種目で重視されてきたのが「経験記述」です。自分が実際に担当した工事について、工事の概要を書いたうえで、品質管理や工程管理、安全管理などのテーマに沿って、現場で直面した課題や実施した対策を具体的に記述します。
経験記述では、工事名や規模、自分の立場などを正確に書くこと、課題と対策の因果関係がはっきりしていることが大切です。出題の形式やテーマは年度・種目によって変わることがあるため、複数のテーマで書けるよう準備しておくと安心です。
1級の難易度と合格率の考え方
1級施工管理技士は、2級に比べて出題範囲が広く、第二次検定では実務経験に裏打ちされた記述力も求められるため、難易度は高めの資格です。ただし、きちんと準備すれば働きながらでも十分に合格を目指せる資格でもあります。
合格率は年度と種目で変わる
1級の合格率は、年度や種目によって大きく変動します。第一次検定・第二次検定ともに、おおむね3割〜5割程度の範囲で推移することが多いものの、年度によってはこれより高くなったり低くなったりすることがあります。
第一次検定と第二次検定の両方に合格して初めて1級施工管理技士になれるため、最終的な難易度は1つの試験の合格率より高く感じられるでしょう。最新の合格率や受検者数は、各試験実施機関(建築・電気工事・電気通信工事は一般財団法人建設業振興基金、土木・管工事・造園は一般財団法人全国建設研修センター、建設機械は一般社団法人日本建設機械施工協会)の公式サイトで確認してください。
合格率だけで判断しない
合格率が低めの年があるからといって、必ずしも問題が極端に難しいとは限りません。受検資格の見直しによって受検者の層が変わると、合格率も変わりやすくなります。大切なのは、合格率の数字よりも、自分の実務経験と勉強時間で合格ラインに届くかどうかです。
一般的には、2級に合格した経験がある方や、日々の現場で施工管理の実務を幅広く経験している方は、試験の内容をイメージしやすく有利です。反対に、担当してきた工事の範囲が限られている方は、経験の少ない分野を重点的に勉強する必要があります。
つまずきやすいポイント
1級の受検者がつまずきやすいのは、第一次検定では「専門外の分野」と「法規」、第二次検定では「経験記述」です。たとえば建築の設備寄りの仕事が多い方は躯体工事の問題、仕上げ工事が中心の方は仮設や土工事の問題に苦手意識を持つことがあります。
経験記述では、工事の概要と記述内容が食い違っている、課題と対策が一般論にとどまっている、といった点で得点を落としやすくなります。自分の現場で「何が問題になり、どう判断し、どんな結果になったか」を具体的に書けるよう準備しておきましょう。
1級技士補と監理技術者補佐
2021年度の制度改正で、第一次検定に合格した人には「技士補」という称号が与えられるようになりました。1級の第一次検定に合格すると「1級技士補」(例:1級建築施工管理技士補)になれます。
1級技士補は監理技術者補佐になれる
1級技士補の大きな特徴は、「監理技術者補佐」として現場に配置できることです。監理技術者補佐は、監理技術者の職務を補佐する技術者で、1級技士補のうち主任技術者の要件を満たす人がなれます。
本来、監理技術者は工事ごとに専任で配置する必要がありますが、監理技術者補佐を専任で置くと、監理技術者は2つの現場を兼務できるようになります(この場合の監理技術者を「特例監理技術者」と呼びます)。技術者が不足しがちな会社にとって、1級技士補は大きな戦力になります。
監理技術者補佐の経験は第二次検定への近道になる
前述のとおり、監理技術者補佐としての実務経験が1年以上あれば、1級の第二次検定を受検できます。1級技士補になって監理技術者補佐として現場に入ることは、会社への貢献と、1級取得への近道を両立できるルートと言えます。
技士補の制度や活用方法は「施工管理技士補とは?」で詳しく紹介しています。
1級合格に向けた勉強法と学習計画
1級は、仕事と両立しながら計画的に勉強することが合格へのポイントです。ここでは、一般的な勉強の進め方と学習スケジュールの例を紹介します。
第一次検定の勉強法
第一次検定は出題範囲が広いため、まずは過去問題集を1冊決めて、全体を通して解いてみることから始めましょう。何度も繰り返し解くうちに、よく出るテーマや自分の苦手分野が見えてきます。
- 過去問を繰り返し解く:同じテーマが形を変えて出題されることが多いため、少なくとも数年分は繰り返し解く
- 解説を読んで理由を理解する:応用能力問題に対応するため、正解の理由まで説明できるようにする
- 得意分野で確実に点を取る:普段の業務に近い分野から固めると、全体の得点が安定しやすい
- 法規は数字を整理する:建設業法や労働安全衛生法の数値・期間は、表にまとめて覚える
第二次検定の勉強法
第二次検定は記述式のため、実際に手を動かして書く練習が欠かせません。特に経験記述は、試験本番で一から考えると時間が足りなくなりがちです。
- 経験記述の工事を早めに決める:自分が深く関わった工事を選び、工事概要を正確に書き出す
- テーマ別に文章を準備する:品質・工程・安全など、複数のテーマで課題と対策を書いておく
- 第三者に読んでもらう:上司や先輩に添削してもらい、わかりにくい点や矛盾を直す
- 記述問題は用語の意味を説明できるようにする:施工上の留意点や用語の説明を、短い文章で書く練習をする
学習スケジュールの例
学習期間は経験や得意分野によって変わりますが、第一次検定・第二次検定ともに数か月前から計画的に進めるのが一般的です。第一次検定が夏前後に行われる種目を例に、学習の流れをまとめました。
| 時期 | 主な取り組み |
|---|---|
| 試験の半年前ごろ | 受検の手引きで受検資格を確認し、過去問題集を用意する。出題範囲の全体像をつかむ |
| 4〜2か月前 | 過去問を分野別に繰り返し解き、苦手分野を把握して重点的に復習する |
| 2か月前〜直前 | 年度別の過去問を時間を計って解き、法規の数字や頻出テーマを総仕上げする |
| 第一次検定後〜第二次検定前 | 経験記述の文章を作成・添削し、記述式の問題を実際に書いて練習する |
経過措置などで同じ年度に第一次検定と第二次検定を続けて受ける場合は、第一次検定の前から経験記述の準備を少しずつ進めておくと、試験後の負担を減らせます。
忙しい施工管理が勉強時間を確保するコツ
施工管理の仕事は忙しく、平日にまとまった勉強時間をとるのは簡単ではありません。通勤時間や昼休みにスマートフォンで過去問を解く、朝の出勤前に30分だけ勉強するなど、短い時間を積み重ねる工夫が効果的です。
また、会社によっては講習会の費用補助や、試験日前後の休暇取得に配慮してくれる場合もあります。上司に受検を伝えておくと、繁忙期の調整や経験記述の相談がしやすくなるでしょう。
1級施工管理技士取得後のキャリア
1級を取得すると、社内での役割も、転職を含めたキャリアの選択肢も大きく広がります。代表的なキャリアの方向性を紹介します。
- 大規模工事の現場所長:監理技術者として大型の工事を統括し、現場全体の工程・品質・原価・安全に責任を持つ
- 工事部門の管理職:複数の現場を統括し、若手技術者の育成や工事部門の運営を担う
- 発注者側・デベロッパーの技術職:発注者の立場で、工事の計画・発注・品質確認などに関わる
- 専門分野のスペシャリスト:電気・管工事などの専門性を深め、高度な設備工事の責任者を務める
- 独立・経営への参画:特定建設業の許可に必要な技術者として、会社経営や独立の道も視野に入る
社内での昇進・昇格
多くの建設会社では、1級の取得が現場所長や管理職への昇格条件の一つになっています。大きな工事の監理技術者を務めることで実績が積み上がり、社内での評価も高まりやすくなります。
転職で条件アップを目指す
1級を持つ施工管理は、転職市場で評価されやすい人材です。今の会社で大きな工事を担当する機会が少ない場合や、資格が年収に反映されにくい場合は、転職によって待遇や担当工事の規模を見直すという選択肢もあります。
転職では、資格の有無だけでなく「どのような工事を、どの立場で担当してきたか」が重視されます。応募書類には、工事の種類や規模、請負金額の目安、担当した役割、工夫した点などを具体的に書くと、1級の資格と実務経験の両方が伝わりやすくなります。
2つ目の1級や関連資格で幅を広げる
1級を1種目取得した後、別の種目の1級や、建築士・電気工事士などの関連資格を取得して専門性を広げる方もいます。たとえば建築と管工事、土木と造園のように関連の深い種目を組み合わせると、担当できる工事の幅がさらに広がります。
1級施工管理技士についてよくある質問
Q. 2級を持っていなくても1級を受けられますか?
1級の第一次検定は、2級を持っていなくても、受検年度末時点で19歳以上であれば受検できます。第二次検定は、1級第一次検定に合格した後の実務経験が必要です。経過措置として旧受検資格で受検する場合は条件が異なるため、受検の手引きで確認してください。
Q. 1級の合格率はどのくらいですか?
年度や種目によって変わりますが、第一次検定・第二次検定ともに、おおむね3割〜5割程度で推移することが多い資格です。両方に合格する必要があるため、計画的な準備が大切です。最新の数値は各試験実施機関の公式サイトで確認してください。
Q. 1級を取ると年収はどのくらい上がりますか?
資格手当や昇格、担当する工事の規模などによって変わるため、一概には言えません。資格手当の額は会社によってさまざまで、1級取得をきっかけに所長や管理職を任されて年収が上がるケースもあります。具体的な条件は、社内規定や求人票で確認しましょう。
Q. 仕事をしながら1級に合格できますか?
多くの方が働きながら合格を目指しています。過去問を中心に早めに勉強を始め、通勤時間などのすき間時間を活用するのがポイントです。第二次検定の経験記述は、上司や先輩に添削してもらうと完成度を高めやすくなります。
Q. 1級技士補になると何ができますか?
1級技士補は、主任技術者の要件を満たしていれば監理技術者補佐として現場に配置できます。監理技術者補佐を置くことで、監理技術者が2つの現場を兼務できるため、会社にとって貴重な戦力になります。監理技術者補佐として1年以上の実務経験を積むと、1級の第二次検定の受検資格も得られます。
Q. 1級はどの種目から取るのがよいですか?
基本的には、今担当している工事や、これから携わりたい工事に合った種目を選ぶのがおすすめです。実務経験と試験内容が結びついているほど勉強しやすく、第二次検定の経験記述も書きやすくなります。
Q. 第一次検定に合格した後、第二次検定に落ちたらどうなりますか?
第一次検定の合格は、その後の年度でも有効です。第二次検定に不合格だった場合も、受検資格を満たしていれば、翌年度以降に第二次検定から受け直すことができます。
まとめ:1級施工管理技士は施工管理のキャリアを大きく広げる資格
1級施工管理技士は、大規模な工事で監理技術者になれる施工管理の上位資格です。2級との違いは、担当できる工事の規模、特定建設業の技術者になれること、会社や転職市場での評価の高さにあります。
2024年度からの受検資格の見直しで、第一次検定は19歳以上なら受検できるようになり、「いきなり1級」の第一次検定に挑戦する道も開かれました。第二次検定には実務経験が必要なため、自分の経験年数や現場の状況に合わせて、2級からか1級からか、無理のないルートを選ぶことが大切です。合格率は年度や種目で変わりますが、過去問と経験記述の準備を計画的に進めれば、働きながらでも十分に合格を目指せます。
1級を取得した後、あるいは取得を目指しながら、より大きな工事や待遇の良い職場に挑戦したい方もいるでしょう。ヨロズワークスでは、施工管理職に特化したキャリアアドバイザーが、資格や経験を活かせる求人をご紹介しています。施工管理の求人を探すことも、無料で転職相談をすることもできますので、キャリアに迷ったときはお気軽にご相談ください。